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しじみの育つ環境

普段私たちが味噌汁や佃煮などにして食べているしじみ。
食卓に並ぶ前には、どのような環境で育ってきたのか考えたことはありますか?
日本には3種類のしじみが生息していますが、種類による違いについても、比べてみましょう。

ヤマトシジミの育つ環境

日本で最も一般的に流通しており、私たちの食卓にも馴染み深いヤマトシジミは、どのような環境で育っているのでしょうか?

水域

ヤマトシジミは、汽水性の生物です。
汽水とは、海水と淡水が入り交じる水域のことで、塩分濃度が0.3~1.0%程度の場所を好んで生息しています。
塩分濃度の全くない川や湖、また塩分濃度の高い海では生息することができないため、条件に当てはまる限られた水域のみが生息地になります。

北海道の天塩川、宮城県の北上川、茨城県の涸沼川といった河川の河口部や、北海道の網走湖、青森県の十三湖、島根県の宍道湖といった海水が流入する湖などが有名な産地です。

土壌

日本有数の水揚量を誇る宍道湖を例に取ると、ヤマトシジミは水深0.5~4mの沿岸部の土の中に生息しており、水深の深い湖の中心部には全く生息していません。
干潟でみられることもありますが、砂の粒度にも条件があり、砂粒の小さなヘドロが90%以上溜まると、しじみは生息できなくなります。

夏の暑い時期は土の表面の浅いところまで出てきますが、冬は寒さから身を守るために深くまで潜ります。

溶存酸素量

宍道湖のヤマトシジミは、水中に溶けている酸素量が50%以上の水域で生息しています。
水の流れがあり、撹拌されて酸素を豊富に含んだ水域を好むようです。
溶存酸素量が10%を切った水域では、しじみは生きていくことができなくなります。

マシジミの育つ環境

かつて日本の食卓に頻繁に並んでいた、マシジミの育つ環境についても学びましょう。
マシジミは、外来種の流入により減少の一途をたどっていますが、北海道と沖縄を除く、国内全域に現在もわずかに生息しています。

水域

マシジミは、ヤマトシジミと違って淡水性の生物です。
海水の入り込まない河川や水路、ため池などを好み、きれいな水がゆっくりと流れる場所が生息域です。
汚れた水質の場所では生きていくことができません。

土壌

普段は、中流から下流のあたりの安定した砂底に隠れています。
ヤマトシジミと同様、泥底にはほとんど存在しません。

セタシジミの育つ環境

セタシジミは、限られた一部の水域にのみみられる貴重なしじみです。
全国に流通することはなく、今も周辺地域の人々に細々と食べられています。

水域

セタシジミは、淡水の琵琶湖水系にのみ生息する固有種のしじみです。
琵琶湖の水を分ける京都の宇治川、淀川といった川にもみられますが、もともとは琵琶湖から瀬田川の水域でよく水揚げされたために、セタシジミという名がつけられました。
現在は、河川の改修や水質汚濁のために、徐々に数を減らしています。

土壌

セタシジミが好む土壌は、深さ10mくらいまでの泥底や砂底です。
泥底に住むセタシジミの貝殻の色は黒っぽい色をしているのに対し、砂底にすむセタシジミの色や柄は、多種多様です。
これは、土壌などの環境の影響を受けることによって起こる変化と考えられています。

しじみの育つ環境を守ろう

日本で穫れるしじみは、わずかな環境の変化にも左右されやすい繊細な生き物です。

外来種の流入や、コンクリート護岸工事といった人の手による環境の急変は、デリケートなしじみにとって大打撃です。
そのため、残念ながらどの種類のしじみも、今や絶滅に追いやられつつあります。
これからもしじみの育つ環境を守っていくために、私たちにできることは何か、考えることが大切なのではないでしょうか。

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